コード(和音)しくみと使い方   
 永い間、楽器店をやってまして、もっとも多い質問の一つで、”曲にコードをつけるには、
 どうすればよいか。”と、よく聞かれました。そこで、未熟ではありますが、
 店頭で説明してきたことを、ここで述べたいと思います。
   
 まず、基本的なことを理解してください
         (イタリア語) ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド
         (英語)    C D E  F  G A B C
  普段使っている ドレミファソラシド は、イタリア語です。そこで、英語でも覚えてください。
  ドC  レD  ミE  ファF  ソG  ラA  シB  ドC  と、なリます。

  次は、ギターの5弦の3フレットから、横に ドレミファソラシド と、弾いてみて下さい。
  もう、お気づきかと思いますが、ミとファ シとド の間が1フレット。他の間は2フレット
  あります。
  
 音間の数え方
  ドを基準にすると、ドからレは2度、ドからミは3度、ドからファは4度、ドからソは5度、
  ドからラは6度、ドからシは7度、ドからドは8度(オクターブと言ってます)と数えます。

  ギターの1フレット分を半音、2フレット分を全音といいます。(半音+半音=全音)
  ドレミファソラシド の音間は、全全半全全全半 と、なります(全音5個と半音2個)。
  1オクターブを全部を、 半音で数えると12個あります。
 
   整理します。(♯シャープ→半音上げる  ♭フラット→半音下げる)

  [ ド  orレ    orミ♭    ファ  ファorソ    orラ    orシ  シ ]
    全部で12個となります。

   そこで、音間の数え方も、レとレを区別する必要が出てきます。

   ドからレをM2(長2度)、ドからレをm2(短2度) と、区別します。
   ドからミをM3(長3度)<全音2個>、ドからミをm3(短3度)<全音1個+半音1個>
   などと、区別します。
 
 コードは和音といい、いくつかの音が重なって、しかも調和していると、いうことです。
  ドとレとミを同時に弾くと、濁って聞こえますが、音を一つづつとばして ド・ミ・ソ と、
  弾くと、安定した美しい響きに聞こえると思います。これを和音(コード)といいます。

       ド(C)を基準に ド・ミ・ソ と、3つ音を重ねて、Cメジャーコード。
       ファ(F)を基準に ファ・ラ・ドと、3つ音を重ねて、Fメジャーコード。
       ソ(G)を基準に ソ・シ・レ と、3つ音を重ねて、Gメジャーコードといいます。

  以上のコードに共通していることは、第1音と2音の音間がM3(長3度)、
       第2音と3音の音間がm3(短3度)と、なることです。
       これを、メジャーコードといい、明るい響きがすると思います。
       実際は、メジャーの部分を省略して言っています。(Cメジャーコードは、Cコード)
       基準になる音を、ルート音と、呼んでいます。
  
  次に、レ(D)を基準に レ・ファ・ラ と、3つ音を重ねて、Dm、( Dマイナーといいます)。
       ミ(E)を基準に ミ・ソ・シ と、3つ音を重ねて、Em、(Eマイナー)。
       ラ(A)を基準に ラ・ド・ミ と、3つ音を重ねて、Am、(Aマイナー)。

  以上のコードに共通していることは、第1音と2音の音間がm3(短3度)、
       第2音と3音の音間がM3(長3度)と、なることです。
       これを、マイナーコードといい、寂しげな響きがすると思います。

      メジャーコードとマイナーコードの違いは、第2音の位置だけで決まります。

       第1音と2音の音間がM3(長3度)であればメジャー、m3(短3度)ならマイナー
       と、なります。要するに、メジャーコードの第2音を半音下げるとマイナーになり
                    マイナーコードの第2音を半音上げるメジャーになります。
      したがってコードの中で第2音が最も重要な音になります、なぜなら第2音によって
      調性(長調か短調)が決まるからです。
          < ド・ミ・ソでCメジャー    ド・ミ・ソでCマイナー>
          <レ・ファ・ラでDマイナー   レ・ファ・ラでDメジャー>・・・など。
       第1音と3音の音間は、P5(完全5度)で、どちらも同じです。
     
  次に、3和音に更に音が加わった場合は、ルート音から数えた度数をつけて表示します。

  ・7(セブン・・・ルート音から短7度の音を加える、又はオクターブ上のルート音から
           1音下がった音を加える。後方が解り易いと思う。)

  ・M7(メジャーセブン・・・ルート音から長7度の音を加える、又はオクターブ上の
            ルート音から半音下がった音を加える。後方が解り易い。
           メジャーとマイナーをあわせたような、空間が広がったような気がします。
      理由は、ルート音を1オクターブ上げ、第2音をルート音にするとmとなるからです。

  ・6(シックス・・・ルート音から長6度の音を加える。マイナーな感じもします。
      理由は短3度下の音をルート音にすると m7となるからです。(異名同コード)
          (例)  ド・ミ・ソ・ラ・<C> =ラ・ド・ミ・ソ<Am

  9(ナイン・・・9度上の音を加える。これは、オクターブ上のルート音の1音高い音
           になります。この場合、M7に9度の音を加える、とする方が一般的です。)

  ・ad9(アド・ナイン・・・3和音に単純に、9度の音を加える。)

  ・ dim(ディミ二ッシュ・・・減ずるという意味。マイナーコードの3音目を半音下げる。
                 音間が、それぞれ短3度となります。)

  ・sues4(サスペンド・フォー・・・吊るすという意味。メジャーコードの第2音を半音上げる。
       コード進行の中では、一時的に半音上がって、また元に戻るのが一般的です。)
       まだありますが、よく出るのは、これぐらいだとおもいますので、次に進みます。

 曲にコードをつけるには、まずその曲のキー(Key)を判断する
   
キーとは、曲全体の調性のことです。ハ長調(Cメジャー)・イ短調(Aマイナー)等。
   キーによって、音階の始まる音の位置が、変わってくるのです。

   
キーは、長調と短調があります。長調の音階はドレミファソラシド、
   
短調の音階はラシドレミファソラ、となります。
    1オクターブを全部、半音にすると12個あります。
   音階の始まる位置が12種類づつあることになります。
   キーは、長調と短調 合わせて24種類。これを、♯と♭を使って区別します。

    ♯・♭が何も付いていなければ、Cメジャー(ハ長調)かAマイナー(イ短調)になります。
   (A)マイナーのルート音は(C)メジャーのルート音の短3度下の音になります。
   この2つの関係を平行調といいます。

  ♯系から整理します。

   まずファの音に♯が付きます。(ファの音はすべて半音上げるということです。)
       キーは、Gメジャー(ト長調) 又は平行調の Em(ホ短調)になります。

  次にファから5度高いドの音にも♯が付きます。(ファとドの音はすべて半音上げる。)
       キーは、D(二長調) 又は Bm(ロ短調)。

  次にドから5度高いソの音に♯が付きます、全部で♯3つ。(ファ・ド・ソ すべて半音上げ)
       キーは、A(イ長調) 又は Fm(嬰へ短調)

  次にソから5度高いレに♯が付きます、全部で♯4つ。(ファ・ド・ソ・レ すべて半音上げ)
       キーは、E(ホ長調) 又はCm(嬰ハ短調)

  次にレから5度高いラに♯が付きます、全部で♯5つ。(ファ・ド・ソ・レ・ラ すべて半音上げ)
       キーは、B(ロ長調) 又はGm(嬰ト短調)

  次にラから5度高いミに♯が付きます、全部で♯6つ。(ファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ すべて半音上げ)
       キーは、F(嬰ヘ長調) 又はDm(嬰ニ短調)

  《キーも♯が付くごとに5度づつ高くなる。 C→G→D→A→E→B→F

  ♭系
   まずシに♭が付きます。(シの音はすべて半音下げ。)
       キーは、F(ヘ長調) 又はDm(ニ短調) 

  次にシから5度低いミに♭が付きます。(シとミ すべて半音下げ)
       キーは、B(変ロ長調) 又はGm(ト短調)

  次にミから5度低いラに♭が付きます、全部で♭3つ。(シとミとラ すべて半音下げ)
       キーは、E(変ホ長調) 又は Cm(ハ短調)

  次にラから5度低いレに♭が付きます、全部で♭4つ。(シ・ミ・ラ・レ すべて半音下げ)
       キーは、A(変イ長調) 又は Fm(へ短調)

  次にレから5度低いソに♭が付きます、全部で♭5つ。(シ・ミ・ラ・レ・ソ すべて半音下げ)
       キーは、D(変ニ長調) 又は Bm(変ロ短調)

  次にソから5度低いドに♭が付きます、全部で♭6つ。(シ・ミ・ラ・レ・ソ・ド すべて半音下げ)
       キーは、G(変ト長調) 又は E(変ホ短調)

  ≪キーも♭が付くごとに5度づつ低くなります。C→F→B→E→A→D→G≫ 
 
  ※♯6つのF(Dm)と ♭6つのG(Em)は、異名同音で重複しますから
   これで24キーになります。

 すっきりまとめます。5度圏)
   
円の内側は平行調/短3度低い音
 
◆時計回りはP5度づつ上がる  ◆逆時計回りはP5度づつ下がる

  ※5度圏は、必ず暗記しよう。時計を連想して、12時→C。1時→G。2時→D。
         11時→F。10時→B等と、暗記して下さい。

  
 いよいよ、キーを決めよう
  
自分の得意な楽器を持ってきて、メロディーを ”さぐり弾き” してみてください。

  ♯(半音上がる)が、ファとか ドとか ソについてないか、又は、
  ♭(半音下がる)が、シとか ミとか ラについてないかに、気をつけて弾いて下さい。

  なにも付かない場合もあるし、最高で6個付く場合もある。

     もし、ファとドの音だけが、ほとんど、半音上がっていれば、
      キーは、D(ニ長調)又は、Bm(ロ短調)になります。

  長調か短調は、1曲をとおして、明るい感じか暗い感じで、判断できると思います。

   <曲の途中でキーが変わるとこもあります。転調といいます。>
  キーがわかれば、その後はそのキーのダイアトニック・コード(音階和音)を
  当てはめれば、いいわけです。
    
 ダイアトニック・コード(音階和音) メジャー(長調)
  長調の音階は、ドレミファソラシド。1つおきに音を並べて和音を作る、

  《 ドミソ・レファラ・ ミソシ ・ファラド・ ソシレ ・ラドミ ・シレファ》 となります。もしキーがCであれば、
   《 C ・Dm ・ Em・  F  ・ G  ・Am ・Bm−5
    となり、この中のコードから当てはめればいいわけです。

    もっと整理をする必要があり、3つのタイプに分けます。(スリーコードといいます)     
    どのキーでも対応できるようにするために、

  まず、7つのコードに順番に番号をつけます。 T Um Vm W X Ym Zm−5

 ◆トニック[T](主和音)→T ≪キーがCであれば、Cコード≫
       その曲の中で最も安定感があり、曲の最後は、必ずこのコードで終わる。
          
 ( 例外は、転調しているか、終わらない感じで終わるときだけ)

 ◆サブドミナント[SD](下属和音)→W ≪キーがCであればFコード≫ 
        トニックからP5度下のコード、 (P5度下は、P4度上でもある)  
         (P=完全)5度の関係は、音の波形が2対3でよく調和する。

 ◆ドミナント[D](属和音)→X ≪キーがCであればGコード≫ 
        コード進行上、スムーズな流れをつくるために、これに7度の音をくっつけて、
        X(G)にして用いるのが一般的。
  
曲は、この3つのコードを、行ったり来たりしながら、最後にトニックで終わる、と考えてください。

    3つのコード(機能)をイメージしてみましょう。
      <イメージは、人によって違いますが、なるべく一般性があるものにします。>

  ◆トニック[T](T)→最もおちつく所、「我が家」としましょう。どこにいてもいつかは帰る所、
       いったん帰ってまた出て行ったり、またずっと、そこにいると退屈な所。
       でも、最後には、必ず帰るところ。

  ◆サブドミナント[SD](W)→我が家の次におちつく所、「別荘」としておきましょう。

  ◆ドミナントセブン[D](X我が家と別荘を移動するための交通機関、「車中」、
       としましょう。不安定で緊張感があり、早く、我が家に帰りたい、
       トニックへ行きたい、感じを出します。

       メジャーコードの3和音に短7度の音を加えて
       4和音にすることで、、第2音と4音が互いに反発して、
       不安定感を引き出します。第2音と4音の音間は、全音で3つ、
     ”トライトーン”の関係にあるといいます。 G→C のコード進行の場合シとファが
       反発して、シ→ド、ファ→ミ に移動することで、不安定→安定をひきだします。

       これを、”ドミナント・モーション” と呼んでいます。 
       コード進行がスムーズになる感じがします。

  1曲を3コードでまとめてしまうと、シンプルすぎることもあります、その場合
 ”代理コード”
をつかいましょう。 (代理とは、まさに代わりが勤まるということ)

  ◆トニック[T](T)の代理コードは、Vm と Ym。
         Cがキーの場合、Cの代わりに Em と Amが使えるということ。

  ◆サブドミナント[SD]W)の代理コードは、Um。
         Cがキーの場合、Fの代わりにDmが使える。

  ◆ドミナントセブン[D](X)の代理コードは、Zm7−5(これは4和音にして使う方が多い)
         と、ダイアトニック・コード外ですが U♭(これも多用されていると思う)。
          
 Cキーの場合、Gの代わりにBm7−5 と D♭7 が使える。これらの
        コードに共通するのは、トライトーンが含まれることです。(この場合 シとファ)

  
 ※よくあるコード進行パターンから

              T→W→X→T    T→Um→X→T
  <キーがCの場合>  C→F→ G→C     C→Dm→G→C
     <機能>    [T]→[SD]→「D7]→[T]       [T]→[SD]→ [D7]→[T]
       F→Dmになることによって、コード進行のイメージは、かなり変わると思いますが
           違和感は、ほとんどないと、おもいます。

          
            T→Ym→Um→X→T T→Ym→Y→Um→X→T
 <キーがCの場合> C→Am→ Dm→ G→C  C→Am→ A→ Dm→ G→C
     <機能>  [T]→[T]→[SD]→[D7]→[T]    [T]→[T]→[※]→[SD]→[D7]→[T]

    Amが次にAに変化して、A→Dmのドミナントモーションを作為的に作り出しているのです。
     部分的に転調していると考えることもできます。(一瞬、Dmのキーに転調。)
     [※]は、Dmキーの中での[X]でいいと思います。

     このA7は、ダイアトニック・コード外ですが、セカンダリー・ドミナント・コード(二次的な)といって、
     頻繁に出てきます。要するに、ダイアトニック・コードに対して”5度圏”の1時間後のコードを
     セブンスにしてぶつけるのです。(A→Dm B→Em C→F D→G E→Am  等。)
     コード進行の流れが、格段によくなることもあると思います。
         
     終止形としては、[X→T] が一般的ですが、たまに[W→T]もあります。[F→C] Fをアー、Cをメン
     と、いいながら弾いて見て下さい。 教会音楽は、だいたい、この終止形になっていて、”アーメン終止”
    というそうです。そういえば、終わり方が、上品で、静かな感じですね。
        
     もう1つ、ダイアトニック・コード外から、頻繁に出てくるコードがあります。
                       T→W→Wm→T   T→W→Wm→X→T
        <キーがCの場合>  C→F→ Fm→ C    C→F→ Fm→ G→ C
    F の後に来る Fm が、同主調(キーが C の場合Cm)からの借用コードとなります。

  実際に、コードをつけるとき、1小節に1つのコード、ないし2つ位が適当かとおもいます。
 これは曲の速さにもよります。亀のようにのろい曲だったら、1音に1つづつ、コードをあてはめる
 必要があると思うし、又、光のような速さだったら、最後さえあっていればいいのかもわかりません。

 まず、メロディーが先にあるわけですから、構成音に配慮します。コード音以外の音を
 どうとらえるか、ということです。音価(音の価値)の高い方を優先します。

  短い音より長い音の方が、音価が高い、同じ長さが2つ並んでいれば、後の方が耳に残る
 から音価が高いと考えます。要は何を優先して、何を無視出来るか、です。

 構成音が[ドミソ]であれば、T(トニック)かその代理コードをあてる。レの音があって、レが無視
 出来ない音であれば、ad9(アドナインス)をあてる、等 4和音をあてる方法もあると思います。

 [ファラド]であれば、SD(サブドミナント)かその代理コードをあてる。どうしても迷って、こまった時は、
 コード進行の流れを優先した方がいい場合もあります。最後は、理論より自分の耳を信じましょう。
   音楽に”絶対”正しい答えなどありません。

 以上でダイアトニック・コード&(頻繁に出てくる)ダイアトニック外・コードについて説明しました。
 C調で説明しましたが、それ以外のキーもC調と同じ位に使える様にトレーニングしてください。

   長調のダイアトニック・コード一覧表を作成しておきます。全部で12キーあります。

    ■長調(メジャー)のダイアトニック・コード  12キー

   キー 
  ↓
 T   Um   Vm   W   X7   Ym Zm7−5
    C  C  Dm  Em  F  G  Am Bm7−5
  G  G  Am  Bm  C  D  Em F♯m7−5
♯♯   D  D  Em  F♯m  G  A  Bm C♯m7−5
♯♯♯   A  A  Bm   C♯m  D  E  F♯m G♯m7−5
♯♯♯♯   E  E  F♯m  G♯m  A  B  C♯m D♯m7−5
♯♯♯♯♯   B  B  C♯m  D♯m  E  F♯  G♯m A♯m7−5
♯♯♯♯♯♯   F♯  F♯  G♯m  A♯m  B  C♯  D♯m E♯m7−5
♭♭♭♭♭♭   G♭  G♭  A♭m  B♭m  C♭  D♭  E♭m Fm7−5
♭♭♭♭♭   D♭  D♭  E♭m  Fm  G♭  A♭  B♭m Cm7−5
♭♭♭♭   A♭  A♭  B♭m  Cm  D♭  E♭  Fm Gm7−5
♭♭♭   E♭  E♭  Fm  Gm  A♭  B♭  Cm Dm7−5
♭♭   B♭   B♭  Cm  Dm  E♭  F  Gm Am7−5
     F  F  Gm  Am  B♭  C  Dm Em7−5

 ●5度圏の12時から時計周りに並んでいます。≪F♯とG♭⇒異名同コード≫
 
            

 ダイアトニック・コード(音階和音) マイナー(短調)
 短調の音階は、長調の短3度下の音から始まる ラシドレミファソラ 。≪音間は全半全全半全全≫

 1つおきに音を並べて和音を作る。《 ラドミ・シレファ・ドミソ・レファラ・ミソシ・ファラド・ソシレ》 となります。
         キーがAmであれば 《Am・Bm−5 ・C ・Dm ・Em・ F ・G 》 となります。

         5番目のEmに注目して下さい。

 4和音にしてもEm、 Eとはならず、ドミナント・モーションがつくれない。
 このコード(E)の必要性から ソ⇒ソ♯ となった音階が導きだされたのです。
 この音階を和声的短音階(ハーモニックマイナースケール)といいます。

 しかし、ファとソの音間が1音半あり、これを解消するため、
 ファ⇒ファにした音階を、旋律的短音階(メロディックマイナースケール) といいます。                          
 最初の音階を自然的短音階(ナチュラルマイナースケール) といい、

             ≪ 全部で3つの短音階があります。≫
           ・自然的短音階 ラ シ ド レ ミ ファ ソ ラ
           ・和声的短音階 ラ シ ド レ ミ ファ ソ
           ・旋律的短音階 ラ シ ド レ ミ ファ

3つを合体すると、≪ラ シ ド レ ミ ファ ファ♯ ソ ソ≫から始まる9種類のコードが出来る。
キーがAmであれば、≪Am Bm7−5  C  Dm E F  F7−5 G Gdim7≫となります。

 短調も長調も要領は同じです。まずメロディーを”さぐり弾き”してキーを判断します。                   そのキーの[T][SD][D] か又はその代理コードをあてはめて、コードづけをしていく。
     コード進行を考慮しながら、メロディーの構成音に近いコードをあて、
        必要に応じて4和音にして用いる。           

       3つ(スリーコード)に分類します。
  ◆トニック[T](主和音)→ Tm ≪キーがAmであれば、Am≫
                             代理コード⇒C ・ F7−5 

  ◆サブドミナント・マイナー[SDM]→Wm ≪キーがAmであればDm≫
                             代理コード⇒Bm7−5 ・ F ・ G

  ◆ドミナント・セブン[D]→X  ≪キーがAmであればE
                             代理コード⇒ Gdim7 ・ 
  
   ※代理コードと代理されるコードには、3音の内、ほぼ2つの共通音が含まれる。
     だから、違和感なく使用できる。当然といえば当然なんです。

  短調のダイアトニック・コード一覧表も作成しておきます。全部で12キーあります。

   ■短調(マイナー)のダイアトニック・コード  12キー

 <ナチュラルマイナー> ▼      ▼       ▼   ▼    ▼     ▼              ▼

キー
 ↓
Tm Um7−5 V♭ Wm X Y♭ Ym7−5 Z♭7 Zdim7
 Am Am Bm7−5  C  Dm  F 7−5  G dim7
 Em Em 7−5  G Am  C 7−5  D dim7
♯♯  Bm Bm 7−5  D Em ♯7  G 7−5  A dim7
♯♯♯  Fm  G7−5  A Bm  D 7−5  E dim7
♯♯♯♯  C D7−5  E ♯7  A 7−5  B ♯dim7
♯♯♯♯♯  G A7−5  B C D♯7  E Fm7−5  F♯7 Gdim7
♯♯♯♯♯♯  D ♯m F(E)m7−5  F ♯7  B Cm7−5  C♯7 dim7
♭♭♭♭♭♭  E Fm7−5  G ♭7  B(C) Cm7−5  D♭7 dim7
♭♭♭♭♭  B Cm7−5  D  G Gm7−5  A♭7 dim7
♭♭♭♭  Fm Fm Gm7-5  A  D Dm7−5  E♭7 dim7
♭♭♭  Cm Cm Dm7-5  E Fm  A Am7−5  B♭7 dim7
♭♭  Gm Gm Am7−5  B Cm  E Em7−5  F ♭dim7
 Dm Dm Em7−5  F Gm  B Bm7−5  C ♭dim7

  ※V♭になるのは、第2音と3音の音間が半音だから、第5音と6音も同じ。

  ※ 《Dm =Em》⇒異名同コード

   ■解り難い所がありましたら、店頭で質問して頂くか、掲示板に書き込んでください。
       修正、加筆してより良いものにしていきたいと思っています。
           最後までお付き合い頂き有難うございました。
 追伸
  瞬時にコード付けを迫られたとき、とりあえず、3コードをあてよう。”さぐり弾き”して
  キーを聞き取り、5度圏を見て下さい。[T](T)(Tm)の1時間前に[SD](W)(Wmがあり、
  1時間後に[D](X)があります。どのキーでも、3つ隣どうしになっています。

               メジャー⇒(T)・(W)・(X
              マイナー ⇒(Tm)・(Wm)・(X

             とりあえず、これでなんとかなると、おもいます。 


《続編》  スケール って何?   
これも店頭でよく聞かれます。

コード又は、コード進行に対してどのようなスケールが、当てはまるか、
そのスケール(音階)を使って、メロディーを組み立てるということで、
 それは、作曲やアドリブ演奏などに役立つと思います。

スケールとは、音階であり、1オクターブの中に、いくつかの音が配置されたものですから、
可能性としては、限りなくあるわけですが、
 一般的なスケールとして、5つのスケールが、あります。

   ○メジャースケール (ドレミファソラシド)
   ○ナチュラル・マイナースケール (ラシドレミファソラ)
   ○ハーモニック・マイナースケール (ラシドレミファソラ)
   ○メロディック・マイナースケール  (ラシドレミファラ)
   ○ペンタトニック・スケール (ドレミソラド)・・・メジャースケールからファ(4度)と
        シ(7度)を抜く (ヨナ抜き、とも言う) 5音の音階。

 マイナースケールやペンタトニック・スケールは、もとは、メジャースケールから
 派生したスケールですから、メジャースケールさえ把握すれば、事足りると思います。

            C⇒Am⇒Dm⇒G⇒C

             キーは、Cになりますから、
 上のコード進行に当てはまるスケールは、Cメジャースケール1発でいいと思います。

 そのキーを把握して、転調しない限り、延々と、そのキーのスケールを使って
 組み立てたメロディを弾き続ける、というやりかたです。 

 他の方法もあります。チャーチモード(教会旋法)を使う。,これはC以外の
 コード(Am・Dm・G)のコード感も出せるし、転調にも対応できるという、すぐれものです。

チャーチモード(教会旋法)
 
メジャースケールが転回してできた7つのスケール。使っている音は、みな同じですが、
始まる音が違うので、それぞれの音間が違い、名前がついています。

    □ドレミファソラシド⇒ イオニアン・スケール   ⇒TM7

    ■レミファソラシドレ⇒ ドリアン・スケール    ⇒Um

    ■ミファソラシドレミ⇒ フリジアン・スケール   ⇒Vm

    □ファソラシドレミファ⇒ リディアン・スケール  ⇒WM7

    □ソラシドレミファソ⇒ ミクソリディアン・スケール⇒X

    ■ラシドレミファソラ⇒ エオリアン・スケール   ⇒Ym

    ■シドレミファソラシ⇒ ロクアン・スケール    ⇒Zm7−5

      □メジャー系<第1音と3音の音間が長3度 =2音>
      ■マイナー系<第1音と3音の音間が短3度 =1音半>

 12のメジャースケールがあり、それぞれに、7つの転回したスケールがあります。

  ギターのスケール練習は、開放弦を使わずに練習しよう。
  形で覚えておけば、後はそのまま、指をずらすだけで、キーを変えることが
  できるからです。12キーあっても、要領は同じなんです。

ちょっと話がそれますが、固定「ド」と移動「ド」について。 楽譜をよむときは、何調であっても
ハ長調のドのところを「ド」と考えて弾きます。♯や♭があっても、そのところだけを半音
上げたり下げたりするだけです。これが固定「ド」方式です。それに対して

そのキーのルート音を「ド」と読み替える方法を、移動「ド」方式といいます。例えば
Gメジャー キーの場合、ハ長調のソを「ド」と読み替えます。
スケールは、常に、移動「ド」方式で対応して下さい。

 
”C”コードもいろいろ  ローコードとかハイコード等、押さえる場所のことでは
 ありません。すでにお分かりとおもいますが、役割のことです。
 [T]もあるし、キーがGのときの[SD]もあるし、キーがFのときの[D]もある。
 
これによって、当てはまるスケールが変わってきます。


   ・Cが[T]⇒Cメジャースケール

   ・Cが[SD]⇒Cリディアンスケール
            (ハ長調の ド[C] をファと読み替えて ファソラシドレミファ)
        又は、Gメジャースケール
            <始まる音が違うだけで、どちらも全く同じです。>

   ・Cが[D]⇒Cミクソりディアンスケール
            (ハ長調の ド[C] をソと読み替えて ソラシドレミファソ)
         第7音のファと第3音のシに注目して下さい、トライトーンの関係にあって、
         ドミナントモーション時に使えるスケールとなります。
       又は、Fメジャースケール
          <これも始まる音が違うだけで、どちらも全く同じです。>